弁護士ブログ

離婚 2022.03.08

「内縁を解消したい」と言われた…応じなければならないの?

そもそも「内縁」とは?

内縁とは,男女が結婚する意思を持って共同生活を営み,社会的には夫婦とみられる実体があるのに,婚姻届けを出していない関係をいいます。
共同生活がなく,将来結婚することを合意しているときは,内縁ではなく,婚約です。
このように内縁は,婚姻届が出されていないこと以外,夫婦としての実体があるため,婚姻届を出している場合に近い保護が与えられています。

解消に応じなければならないの?

一方的な内縁の解消は,離婚する場合と同様に,相手に解消する正当な理由がなければ,応じる必要はありませんが,離婚と違って,解消に届け出などが不要なため,一方的に解消されてしまいます。
そこで,不当に内縁を解消した相手に何が請求できるのかということを考えましょう。
不当な内縁解消となるかは,夫婦間の個々の事情によってさまざまですので、明確な基準があるわけではありません。ただし,不貞や暴力があるときや,生活費を一切払っていないなどの事情があるときの解消は不当といえません。
さらに,夫婦としての共同生活がないと,そもそも内縁にならないので注意が必要です。

普通,婚姻届けを出している夫婦が離婚するときは,離婚届けを互いに作成した上で役所に出すか,他方が離婚を拒めば,裁判などで決めないと離婚はできません。
しかし,内縁を解消する場合は,「離婚届」にあたるような「内縁解消届」という届出はありませんし,裁判などによらないと解消できないわけでもありません。
そのため,相手が一方的に内縁解消を望んだ場合,内縁を解消する正当な理由がなくても,相手の行動によって一方的に解消されてしまうのです。

相手への責任追及方法

そこで,内縁を不当に破棄された場合,相手への責任追及ですが,いくつかの方法があります。
1つは慰謝料の請求であり,もう1つは,内縁中に夫婦で蓄えた財産があれば財産分与を請求するという方法です。
もちろん,内縁を解消したくない場合(つまり復縁したい場合)で,夫婦間では話し合いができないときは,家庭裁判所に復縁を求めて内縁関係を調整する調停を申し立てることができます。
ただ,相手があくまで解消を主張する場合は,この調停は,内縁の不当破棄の話しとして損害賠償請求事件として家庭裁判所から民事調停裁判所に移送される場合も多いです。
以上のとおり,内縁の不当破棄の場合,そもそも内縁にあたるのか,また不当な解消に当たるのか,弁護士に相談して必要な措置を取りましょう。